「建設機械のリース契約書が毎月山のように届き、製本・押印・返送で半日かかる」「リース物件明細と注文書の対応関係が紙のままで、棚卸しに大きな負荷がかかる」——建設業や製造業の経理・総務担当者から頻繁に聞かれる悩みです。リース契約は、一度締結すれば終わりの請負契約と違い、追加・変更・延長・解約のたびに書面が発生し続ける、継続型の契約という特徴があります。だからこそ電子化した際の効果が大きく、2027年度から強制適用される新リース会計基準への備えとしても、いま着手する価値があります。
リース契約書が紙のまま残り続けている背景

リース契約は、建設機械・車両・仮設材・情報機器など、あらゆる資産で日々発生しています。ここには一般的な売買契約や請負契約にはない、三つの独特な事情があります。
契約本体と個別注文書の二段構造
多くのリース取引は、「基本契約書(マスターリース契約)」を一度締結したあと、物件ごとに「個別契約書」や「注文書・注文請書」をやり取りする二段構造になっています。毎月の追加発注、物件入れ替え、契約延長のたびに紙のサイクルが発生するため、件数が跳ね上がりやすいのです。
高額な印紙税
リース契約書は多くの場合、印紙税法上の「第7号文書(継続的取引の基本となる契約書)」または「第2号文書(請負契約書)」に該当します。第7号文書は一律4,000円、第2号文書は金額に応じて数百円〜数十万円の収入印紙が必要です。年間数百件の契約を結ぶ中堅企業では、印紙税だけで年間100万円を超えるケースも珍しくありません。
長期保存と検索性の課題
リース契約は5年・7年といった長期にわたるため、契約期間中は原本の参照頻度が高く、契約満了後も法定保存期間(法人税法では原則7年)の間保管する義務があります。キャビネット何本分もの紙を管理し、必要なときに物件と紐づけて探し出す作業は、属人化しやすい負担です。
国税庁も、電子化した契約書は印紙税法の「文書」に該当しないとの見解を示しており、電子契約であれば収入印紙が不要になります。にもかかわらず紙が残り続けるのは、リース会社側の運用や、社内の承認ワークフローが紙前提のままになっているケースが大半です。
リース契約書を電子化する5つのメリット

リース契約書を電子化すると、単なるペーパーレス以上の効果が得られます。とくに建設業や製造業では、次の5つが経営インパクトとして効いてきます。
1. 印紙税がゼロになる
電子契約は印紙税法上の「課税文書」に該当しません。第7号文書であれば1通あたり4,000円の印紙が丸ごと削減できます。リース基本契約を協力会社や下請け含めて年間100件結ぶ企業なら、それだけで年間40万円の節税効果です。
2. 締結スピードが劇的に短くなる
紙契約の往復は郵送だけで最低3〜5営業日かかりますが、電子契約ならメール到達と同時に署名可能で、数分〜数時間で締結完了します。建設機械の緊急リース発注のように、現場の着工遅延に直結する場面での効果が大きい領域です。
3. 電子帳簿保存法に自然に適合する
2024年1月からは電子取引データの紙保存が原則禁止され、電子データのまま保存する義務が明確化されました。リース契約に付随する注文書・請求書も電子取引の対象です。最初から電子契約サービスで締結・保管すれば、タイムスタンプや改ざん防止措置が自動で付与され、電帳法要件を満たす状態で保存できます。
4. 2027年新リース会計基準への備えになる
2024年9月に新しい日本のリース会計基準が公表され、2027年4月以後に開始する事業年度から強制適用されます。この基準では、借り手側は原則すべてのリース取引をオンバランス(使用権資産・リース負債として計上)することが求められ、IFRS16との整合性が強まります。オンバランス処理には契約ごとのリース期間・支払額・変動条件などを把握する必要があり、電子契約で構造化された契約情報を持っておけば、会計システムへの連携がスムーズです。紙のファイルから条文を拾って入力する会社と、契約データをそのまま流し込める会社で、決算業務の負荷には大きな差が生まれます。
5. 検索・照合コストの削減
電子契約サービスは契約書に相手方名、金額、契約期間などのメタデータを付与できるため、物件番号や契約番号での即時検索が可能になります。監査対応や資産棚卸しで「あの契約書を探して」と言われた瞬間に数秒で取り出せる体制は、継続的なコスト削減として効いてきます。
主要なサービスを挙げると、クラウドサイン・GMOサイン・マネーフォワード クラウド契約・BtoBプラットフォーム 契約書などが代表的で、いずれもリース契約の電子化に対応しています。選定は取引先(リース会社)側の対応状況と、自社の既存会計システムとの連携可否で決めるのが実務的です。
リース発注の業務自体をデジタルに寄せたい場合は、unionのリース発注サービスもあわせて検討してみてください。リース物件の発注・返却・入替までを現場とバックオフィスが同じ画面で扱えるようになり、契約電子化の効果がさらに広がります。
電子化を成功させる実践ステップ

電子契約サービスを契約しただけでは、リース契約の電子化は進みません。相手方(リース会社)と協力会社を巻き込むことが鍵になります。次の5ステップで進めると無理がありません。
- 契約の棚卸し — 現在発生しているリース契約を、基本契約・個別契約・注文書・覚書などの類型別に整理。年間件数と印紙税額を可視化
- 対応状況の確認 — 主要リース会社に「電子契約サービスで締結可能か」を照会。大手リース会社の多くはすでに複数の電子契約サービスに対応済みです
- 社内ルールの整備 — 締結権限、承認フロー、電子データの保管場所、電帳法上の保存要件を文書化。2027年の新リース会計基準で必要な情報項目(リース期間・支払額・オプション条件)を漏らさず取得するテンプレートを準備
- パイロット締結 — 主要リース会社1〜2社と、限定された物件カテゴリで試験運用し、実務上の課題を洗い出す
- 全社展開と効果測定 — 印紙税削減額、締結リードタイムの短縮、監査対応工数を半年ごとに定量化し、経営層と共有
特に3番目の「情報項目の設計」は2027年対応で差がつくポイントです。新基準ではリース期間に含めるべき延長オプションの判断など、これまで会計で明示的に扱っていなかった条件を記録する必要があります。最初から電子契約のテンプレートに組み込んでおくと、後から契約書を見直す二度手間を避けられます。
まとめ
- リース契約は基本契約+個別注文書の二段構造で発生件数が多く、電子化の経営インパクトが大きい領域
- 電子契約は印紙税ゼロ、締結スピード短縮、電帳法適合、検索性向上という4つの即効メリットがある
- 加えて2027年度から強制適用される新リース会計基準への備えとして、契約情報を構造化しておく戦略的価値が高い
- 電子契約サービスは相手方リース会社の対応状況と、既存会計システムとの連携可否で選ぶのが実務的
- 導入は「棚卸し → 対応確認 → ルール整備 → パイロット → 全社展開」の順で、現場と協力会社を巻き込むのが成功の鍵
契約業務は一見すると地味なバックオフィス業務ですが、リース契約のように継続・反復が多い領域では、電子化の積み上げ効果が非常に大きくなります。2027年の会計基準適用を待たず、印紙税削減と業務効率化の両面で早期に取り組む価値のある施策です。
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