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建設業向け電子契約サービス徹底比較|請負契約・注文書を電子化する6つの視点

建設業向け電子契約サービス徹底比較|請負契約・注文書を電子化する6つの視点

「請負契約書の製本・押印・郵送だけで担当者が半日潰れる」「協力会社との注文書・注文請書の往復が遅く、着工が後ろ倒しになる」——建設業のバックオフィスで繰り返される課題です。電子契約は印紙税の削減・締結スピードの短縮・書類保管の効率化という三つの効果が揃う、投資対効果の高いDX施策。ただし建設業は契約形態が独特で、一般的な電子契約の選び方では失敗することもあります。本記事では建設業ならではの視点で、主要な電子契約サービスを比較・整理します。

建設業の契約業務はなぜ電子化が進みにくかったのか

積み上がった建設関連の書類と契約書類

建設業法第19条は、請負契約の内容を書面にして当事者双方が交付することを義務付けています。長く「請負契約は紙でなければならない」と解釈されてきた理由がここにあります。

転機は2001年の建設業法改正と、2020年10月の施行規則改正です。改正後は、電子契約でも以下3つの技術的要件を満たせば適法とされるようになりました。

  • 見読性:契約内容が画面で明確に表示され、必要に応じて書面として出力できること
  • 原本性:契約内容が改ざんされていないことを確認できる措置が講じられていること
  • 本人性:契約の相手方が本人であることを確認できる措置が講じられていること

とくに「本人性」は2020年の改正で追加され、実質的な導入ハードルになってきました。現在はクラウドサインGMOサインなどの主要サービスが、グレーゾーン解消制度を通じて国土交通省から建設業法上の適法性について個別の確認回答を得ており、実務での導入は安心して進められる段階に入っています。

それでも現場に紙が残り続けるのは、協力会社側の準備が整っていない、注文書・注文請書の往復や条文修正が多い、という建設業特有の事情があるからです。裏を返せば、この構造を理解したうえでサービスを選ばないと、自社だけが電子化しても効果が出にくいということでもあります。

建設業向け電子契約サービスの比較ポイント

タブレット上で電子署名を行う様子

建設業向けに電子契約を比較するときは、一般的な「価格」「導入社数」だけでなく、次の6つの視点を押さえると選択を誤りません。

比較の6視点

  1. 建設業法への適合性 — グレーゾーン解消制度で国交省から適法確認を受けているか
  2. 署名タイプの選択肢 — 電子証明書を使う「当事者署名型」と、メール認証ベースの「立会人署名型」の両方に対応しているか
  3. 注文書・注文請書の往復に耐える機能 — 連続送信、テンプレート、条文修正の差分管理
  4. 協力会社の導入負担 — 受信側は無料で使えるか、アカウント登録不要で署名できるか
  5. 料金体系 — 月額固定か、送信件数従量か、当事者型署名のコスト
  6. 監査・長期保存 — 電帳法スキャナ保存要件、タイムスタンプ、長期署名(LTA)対応

主要サービスの位置づけ

  • クラウドサイン — 導入社数250万社以上、国内シェア最大。建設業法対応のガイドを公式に公開。基本料金11,000円/月+送信220円/件と割高だが、相手方の導入ハードルが低く、協力会社が多い元請に向く
  • GMOサイン — 月額9,680円〜、立会人型が1通110円と主要サービスで最安級。当事者署名型と立会人署名型の両対応で、請負契約と注文書で使い分けたい建設会社に適合
  • ドキュサイン(DocuSign) — 海外案件・JV契約がある中堅以上向け。多言語・多国対応と高度なワークフロー機能が強み
  • BtoBプラットフォーム 契約書(インフォマート) — 請求書・受発注プラットフォームとの連携が強く、バックオフィス一体で電子化したい企業向け
  • WAN-Sign — 書庫管理で知られるワンビシアーカイブズ系。紙契約書の電子保管と組み合わせて段階移行したい会社に向く

コスト最優先なら GMOサイン、取引先の多さで選ぶならクラウドサイン、というのが現時点での定石です。ただし建設業の場合は「協力会社何社を巻き込めるか」で効果が決まるため、営業担当に自社の協力会社リストを見せて実際の受信フローをシミュレートしてもらうのが最も確実な比較方法になります。

発注業務のデジタル化に関心がある方は、注文書・発注書のやり取りに特化したunionの発注サービスリース発注もあわせて検討ください。電子契約サービスと役割分担させることで、契約本体とその後の個別発注をシームレスに回せます。

電子契約を建設業で定着させる実践ステップ

電子契約の導入について打ち合わせする様子

サービスを選定したら、次は社内外への定着です。建設業で失敗しやすいパターンは「契約部門だけで導入を決めて、現場と協力会社に展開できない」ケース。次の5段階で進めると無理がありません。

  1. 契約類型の棚卸し — 請負契約、注文書・注文請書、協定書、リース契約、秘密保持契約など、自社で発生する契約を洗い出し、電子化対象を決める
  2. 運用ルールの設計 — 誰が締結権限を持つか、承認フロー、原本の保管ルール、電帳法の保存要件を明文化
  3. パイロット導入 — まずは社内稟議・秘密保持契約など相手方が限定された契約から電子化し、運用上の課題を洗い出す
  4. 協力会社への周知 — 説明会や簡易マニュアルで受信側の不安を解消。受信無料であること、アカウント登録が不要であることをしっかり伝える
  5. 全社展開と印紙税削減の効果測定 — 電子契約は印紙税の課税対象外のため、請負金額に応じた節税効果が直接出ます。半年程度で効果を可視化し、社内の定着を後押し

とくに2番目の「運用ルール」は後回しにされがちですが、電帳法対応や建設業許可の更新検査で指摘されやすい領域です。最初の段階で総務・経理・法務を巻き込み、書面で残しておくことを推奨します。

まとめ

  • 建設業の請負契約は、建設業法の3要件(見読性・原本性・本人性)を満たす電子契約サービスであれば適法に電子化可能
  • 主要サービスはグレーゾーン解消制度で国交省から適法確認を得ており、クラウドサイン・GMOサインが代表格
  • サービス選定は「自社の協力会社にとって使いやすいか」「注文書の往復に耐えるか」で判断すると失敗しにくい
  • 導入は契約の棚卸し → 運用ルール → パイロット → 協力会社周知 → 全社展開の順に進めると定着しやすい

印紙税・郵送費・締結スピードの効果が一度に出るのが電子契約の強みです。2026年は電帳法の完全運用と建設業の2024年問題対応が重なる節目。契約業務の棚卸しを、現場の働き方改革とセットで進めていくのがおすすめです。


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